「剪定」より「手入れ」の方が木を優しく扱っているような気がして好きです。検索してみると、剪定は「樹木の枝を切り、形を整えたり、風通しを良くする事。」手入れは「よい状態に保つために、整えたり補修して、手を掛けること。」やっぱり「手入れ」の方が好きかな。
2018/10/29
先に、同じアカマツでもそれぞれ性格や特徴があることについて書きました。例えば芽折りをして新芽が出やすい木とそうでないもの。その他に花が付きやすい木や、樹皮が薄い木や、幹の赤さと範囲など様々です。それらの事を飛騨では性種(しょうたね)と言います。例えば、「性種が悪いで何ともならんな~。」といった使い方をします。どうやらこれは木に限ったことではなく、人にも性種により何ともならない部分があるようです。人の場合は「性根」ですな。
以前は、山にある木を根廻しておき、その後庭に植えたので、庭木のアカマツをみてその特徴からどこの出の(どこの山から掘り出した)木であるかを当てたりしましたが、今は誰も興味がありません。ちなみに飛騨の中でもより田舎から高山に出てきた(移り住んだ)人を「山出し」と呼びます。「お前は○○の出やろ~」とか言いますが、これからはこう言った言葉も差別語で使えなくなりそうです。実際は、地元に誇りを持っている人が多いので差別とは受け取りませんが・・。
2018/10/08
捕捉です。アカマツの芽折りをする際、時期が早い方が来年の芽を準備しやすいと書きました。確かにそうですが、その時期のみアカマツの手入れができる訳ではありませんし、芽折りの適期でない時に伸びすぎた新芽を短くしたい時もあります。その際、葉を切らないように軸に鋏を入れますが、それと同時に古葉(昨年出た葉)をむしります。(その時期、その木、手入れの方法によってむしる量は違います。)そうすると、適期でない場合でも新芽を準備する確率は、むしらない場合に比べ高くなります。以前にも書きましたが、同じアカマツでも性格が違うので、新芽が出なくても問題ない箇所で、かつどの時期ならどのくらい新芽が出るのか、出ないのか事前に確認します。
2018/09/17
「アカマツは囲炉裏を探す。」と飛騨では言う。「囲炉裏のある所に太い根が伸びているぞ。」という意味です。2011年(平成23年)長野で開催された日本樹木医会の総会時の講演で、土に炭を混ぜて埋戻し樹勢回復を行うといった、ためになるお話があった。昔の庭師も大したもんだと飛騨に帰り移植実験をしてみた。しかし葉は薄緑になり、根元からはテングダケがたくさん生えてきてびっくり。おまけにマツモグリカイガラムシも入りさんざんな目にあいました。
2017年(平成29年)長野県樹木医会で炭を使った菌根菌の勉強会があったので、早速参加させて頂きました。すると、アカマツに使用すると・・・。上記の事例が発表され納得。その後のアカマツの様子は紹介されませんでしたが、中坪実験では2年でとても元気に回復しました。ちなみに、中坪では流水で48時間浸した消炭を使用しています。土壌改良についてはまた。忘却が訪れる前に。
2018/08/27
木は記憶することができる。何故か、どう言う仕組みか知らないが、記憶することができる気がします。個人的に木に記憶があると思った方が愛着がわきます。
庭師が使う言葉に「鋏慣れ」というのがある。使用例は「鋏慣れしとらん木をいきなり強よう入れると枯てまうぞ。」てな感じです。つまり、鋏を知っている木と知らない木がいることになるが、これは言葉のあやで、本当は記憶によるものと信じたいですが、そうは言えないようです。なぜなら、荒れた木を手入れすると、懐にいた弱い芽の枝を残すことになります。強く鋏を入れる程、弱い芽が多く残るので、枯れる可能性が高くなるからです。
次の例は、記憶があるように思えます。それは、雪解けの季節に観察できます。少し前の飛騨では、飛騨以外の木を移植する際は、移植したい木を雪の下で冬越ししてから春に木を掘り起こして植えていました。発芽の調整のためであると思います。思いますというのは、昔からそうしてきたので意味など考えないからです。前年に木(コブシ)を植えてみました。どうなるかというと、飛騨以外から来たコブシは暖かくなると飛騨のコブシより早く芽が出ます。早春の飛騨では暖かくなってもまた寒い日が来ます。そのため早く芽を出したコブシの枝は凍害により枯れてしまいます。飛騨の木は一度暖かい日が続いてもまた寒い日が来ることを知っているのです。飛騨以外から来た木は次年度も同じような傾向にあります。しかし年々飛騨にの気候に慣れてゆきます。木にも記憶がありそうです。
もしかして、鋏の記憶もあるかもしれません。木も生き物なので。いや、あるはず。でなければ進化も多様性もありません。
2018/08/06
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