中坪造園有限会社
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デンドロサービス樹木管理事務局

備忘録

20年程前、疑問に思って実験したことがあります。公共工事で土壌改良材の配合についてなぜその配合になっているのかという疑問です。1m程度のイチイとドウダンツツジの若木を5本づつ買ってきて、根についた土を洗い流しました。そして同じ大きさに根を切りそろえ、5つの違う土壌条件で植えました。畑で木の枠を作成し両面をアクリル板にして埋め戻し、土を掘り起こすと、発根の途中経過を観察できるようにしました。実験期間は春から翌春までの1年です。土壌条件で地上部分と地下部分の変化を観察したわけです。実験最後には木枠をばらして、それぞれの木の根についた土を洗い流し伸長量などを比較しました。簡単に言えば、実験結果は伸長量が大きいのは肥料がない土壌環境にある木でした。肥料分が多い土壌では伸長量は最も少なくなりました。根の形状も全く違いました。結果は当たり前のようですがその時は若かったし楽しい実験でした。実験はその後の仕事にも影響していて、根を見る目が変わりました。例えばイチイの移植では土壌に肥料分がある程度少ないイチイの方が肥料分を吸収する細根が出やすいことが分りましたし、いろんなことを実験するようになり、苗木を買っては枯らしたり、在庫にある木を枯らしたり、売れなくして楽しみました。

2019/01/28

土壌改良

自社で作成したたい肥を使って土壌改良を行っています。現在5年計画で行っているサクラが2本あります。時期は春先に行いたいのですが、事情によりできないため夏季を避けて行っています。一度に広範囲を土壌改良するとかえってい樹勢が低下してしまうため、樹木の周囲を10に区分けして、2箇所/年に土壌改良しています。掘削深さは20㎝程度、掘削時は根の発根状況(分布など)を確認しながら傷つけないように掘削します。掘削する際掘り出した土は振るいによって石を取除いています。根系の状況を記録し、たいていの場合15㎜程度までの根は切り取ります。そして土壌改良材としてたい肥に消炭を混入したものを使用しています。消炭はアルカリ性が強いので念のため48時間流水に浸したものを使用しています。土壌改良の効果は翌々年くらいにしか出ないようです。最初の土壌改良時には土壌改良しない箇所に施肥したり、花芽を多く持っている時には土壌改良作業時、掘削後に固型肥料を並べてから埋め戻したりしています。運がいいことに土壌改良しているサクラは樹勢が良くなったと評価を得ていますが、どうしてそうなったかは分からず、今までの失敗と成功から学ぶしかありません。ちなみに土壌改良だけで樹勢回復したわけではないと思います。杉の大木の下にあるサクラで、スギの下枝が影となっていましたので初年度に下枝を取除きました。日照量が増えたのも樹勢回復した要因であると思います。その他にも、サクラの周囲の雑草の管理に除草剤が使われていましたがそれを止めて頂きましたし、落葉清掃と根元に落葉を集積することも止めて頂きました。こうなるとますますなぜ樹勢回復の要因が分からないですね。

2018/12/31

枝葉の有効利用(燃料、林床保護)

樹木管理で出た枝葉や幹の有効利用として、たい肥作りのほかに冬場の薪ストーブの燃料として、また、林床に敷き均して林床の保護材として使用しています。林床へ敷く利用について書き止めます。

飛騨では、庭作りや、石積のための自然石を山へ行って採取します。その山の事を石山、採取することを石だしと呼びます。石だしが終わった山は植林をして終わるのですが、その林床は石出しによって荒れています。そこに枝葉を敷き均します。それによって、土砂の流出が減りますし、土壌も肥えます。ササの侵入も遅れますので良いことずくめです。但し枝葉がたい肥になる頃にミミズが増えてイノシシの餌場となり荒らされます。イノシシが枝葉を撹拌してさらにたい肥化が促進されます。

どこかの林業試験場が林床に枝葉を敷き均した実験の検証をされていましたが、大変良いのは確かなようです。しかし、なぜ皆がやらないかは分かります。林床に敷き均すのが大変なんです。処分料を払うか敷き均すか、どちらもお金がかかります。山に戻してあげるのがいいのは分かりますが、なかなか大変です。

2018/12/24

枝葉の有効利用(たい肥)その2

枝葉によって作った、たい肥は樹勢回復のための土壌改良材と使用しています。樹種によりますが、たい肥には消炭を入れて使用します。消炭の調達は、庭木の剪定や伐採などで出た枝や幹を薪ストーブで燃やし、その際出た灰を振るいにかけて消炭を取り出しています。サクラやクロマツにはたい肥に消炭を混ぜて使っています。アカマツに使用すると葉が黄色に変色し、土壌改良した箇所からテングダケ(キノコ)が大量に生えてきて驚きましたが、翌年には回復しました。アカマツは囲炉裏を探すので炭が好きなのかと思いましたが、なんでだろう?注意が必要なことは分りました。

2018/12/17

枝葉の有効利用(たい肥)その1

平成12年、たい肥を作ることにした。木を扱う上で土が大切であると思ったからである。法律的に問題があるかどうかは別にして、飛騨の庭師には手入れによって出た枝葉を山の谷に捨てている方がいて、その方曰く、「同じ箇所ばかりあけると(捨てると)抜けてまう(土が流失する)し、木はしとなりすぎて(大きくなり過ぎて)根が張らずに倒れるでだしかんぞ!」また、自分が過去に行った根の実験でも確かに土が良いと根の伸長量は少ないこと、化学肥料と植物性たい肥の比較などから、土を作ってみたいと思ったのである。森は1㎝の土を作るのに100年かかるとある本に書いてあったので、真実か否かは別にして森の土を作ることにした。

そこで、植物だけを使った(手入れによってでた枝葉のみを使った)たい肥を作ることを決め、たい肥作りを始めた。農家のたい肥の作り方を見て回ったが、どの農家も動物性残渣を利用していて、植物だけでは発酵しないのではということだった。それから色々試行錯誤の結果、①2~3m枝葉を積み上げて枝葉に圧力がかかるようにすること。②適当な水分を加えること。③空気を入れる(撹拌する)こと。この3点によって、枝葉のみで十分発酵することが分った。ちなみに発酵時温度を測った際の最高温度は、87度であった。そこまで発酵温度が上がる時は既にたい肥の中の葉は真っ白に乾いていて、撹拌しながら水分を足し次の発酵を促す必要がある。ここまでが1年である。

どんなに発酵して温度が上がっても枝部は残ってしまうので、その後は野積みで年に3回程撹拌する程度で放置しておく。すると、カブトムシをの幼虫が大量に涌いて枝を食べてくれる。カブトムシが涌かなくなるとたい肥の完成となる。完成したたい肥は成分分析を依頼しているが、いまいち表を見てもよく分からない。しかし、土に混ぜて使用すると細根が絨毯のように発生するので土壌改良材の一つに使用している。

問題は、完成時でもカブトムシの食べ残した枝が残っているので、使用する分をいちいち振るいに掛ける必要があること。というわけで、今度は「樹木粉砕車(グリーンザウルス)」を購入し、細かいチップにしたものでたい肥製造中です。もう一つ問題点は、針葉樹と広葉樹の割合です。凡そ4:6ですが、この割合の変化によって、土壌に混ぜて使用した時の発根量にどんな影響があるのだろうか?と少し思いますが、今作っているたい肥は効果があるのでヨシとします。

 

 

 

2018/08/20

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