平成12年、たい肥を作ることにした。木を扱う上で土が大切であると思ったからである。法律的に問題があるかどうかは別にして、飛騨の庭師には手入れによって出た枝葉を山の谷に捨てている方がいて、その方曰く、「同じ箇所ばかりあけると(捨てると)抜けてまう(土が流失する)し、木はしとなりすぎて(大きくなり過ぎて)根が張らずに倒れるでだしかんぞ!」また、自分が過去に行った根の実験でも確かに土が良いと根の伸長量は少ないこと、化学肥料と植物性たい肥の比較などから、土を作ってみたいと思ったのである。森は1㎝の土を作るのに100年かかるとある本に書いてあったので、真実か否かは別にして森の土を作ることにした。
そこで、植物だけを使った(手入れによってでた枝葉のみを使った)たい肥を作ることを決め、たい肥作りを始めた。農家のたい肥の作り方を見て回ったが、どの農家も動物性残渣を利用していて、植物だけでは発酵しないのではということだった。それから色々試行錯誤の結果、①2~3m枝葉を積み上げて枝葉に圧力がかかるようにすること。②適当な水分を加えること。③空気を入れる(撹拌する)こと。この3点によって、枝葉のみで十分発酵することが分った。ちなみに発酵時温度を測った際の最高温度は、87度であった。そこまで発酵温度が上がる時は既にたい肥の中の葉は真っ白に乾いていて、撹拌しながら水分を足し次の発酵を促す必要がある。ここまでが1年である。
どんなに発酵して温度が上がっても枝部は残ってしまうので、その後は野積みで年に3回程撹拌する程度で放置しておく。すると、カブトムシをの幼虫が大量に涌いて枝を食べてくれる。カブトムシが涌かなくなるとたい肥の完成となる。完成したたい肥は成分分析を依頼しているが、いまいち表を見てもよく分からない。しかし、土に混ぜて使用すると細根が絨毯のように発生するので土壌改良材の一つに使用している。
問題は、完成時でもカブトムシの食べ残した枝が残っているので、使用する分をいちいち振るいに掛ける必要があること。というわけで、今度は「樹木粉砕車(グリーンザウルス)」を購入し、細かいチップにしたものでたい肥製造中です。もう一つ問題点は、針葉樹と広葉樹の割合です。凡そ4:6ですが、この割合の変化によって、土壌に混ぜて使用した時の発根量にどんな影響があるのだろうか?と少し思いますが、今作っているたい肥は効果があるのでヨシとします。
2018/08/20
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