飛騨では、お客さんから「庭師さん」と呼ばれる。
昔の庭師は誇りも、おごりもあったようだ。
昔は仕事が完成し主人が職人を招いて宴会を催す際、その宴会の席順が決まっていた。上座の主人。その主人の隣が庭師。両脇に大工、左官、と続くわけである。つまり庭師が偉いという話だ。自分が若い頃聞かされた、「昔は字の持つ意味を大事にしていた。”庭師”の”師”は位が高い字で、昔は”師”の付く職種は”庭師”と”医師”くらいなものだった。」といった話、また、年配の大工の方と現場で会って、「若い頃、庭師に大工ごときが・・・と言われたことが悔しかった。」の類の話。職業差別の話だが、視点を変えれば見習う点はある。仕事に誇りをもって向き合っていて、よく勉強をしていた。庭や木は勿論、骨董や美術品、世間の動向に至るまで主人に合わせて話ができる術も知識も持っていた。見習いたくないこともある。もっと昔の江戸時代は、出入りしている家の事情を奥方よりもよく知っていて、お家の大事には真っ先に口封じのため殺されるのも庭師であったようだ。
庭師。面白い仕事だと思う。
飛騨では「山師」というステッカーを付けた車を見かける。「山師」にはバクチ打ちの意味があるので現在使わない言葉だと聞いたが、「山師」ステッカーにはそれもひっくるめて「山師」愛を感じる。
庭師も山師も絶滅しませんように。
2018/07/23
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